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東博「運慶」x2

ここ一カ月のことですが、今年の東京国立博物館の特別展「運慶」に2回行ってきました。

運慶好きです。
展覧会があると観に行くし、お寺を訪ねた像もあるので、心の中で「また会ったね」とご挨拶。

今回は運慶のデビュー作といわれる「大日如来坐像」が展示されており「おぉ~、天才は最初から天才だ!」と感激。

奈良長岳寺の阿弥陀如来と両脇侍坐像にもとても惹かれて、行くたびに2周して二度観てしまいました。また運慶のお父さんの康慶の迫力ある像にも感銘を受け、こちらも2周の理由になりました。

2008年にクリスティーズにかけられて「すわ海外流出か」と危惧されたら真如苑が14億円(落札した三越の手数料込み)で購入したという「大日如来坐像」も展示されていました。数奇な運命をたどって来られたそうですが、どんな旅だったのか聞いてみたい。

高野山の八大童子立像は人気が出るにつれ?なのか、一人一人が別々にガラスのケースに入って、アイドルよろしくそれぞれスポットライトを浴びていました。私としては一堂に揃っている感じで観たかったです。

現存する運慶作、またはその可能性が高いという仏像は31体だそうです。今回の展覧会では22体が出陳されていて、今までの展覧会の中では最多ということ。思い出すと、また会いに行きたくなります。会期中なので、また行っちゃうかもね。



「私を置いていかないで」

 ⇑⇑⇑ タイトルが間違っていました。
正しくは「私を離さないで」です。どこから出て来たのか分かりません…


引き続きカズオ・イシグロ読みました。

やはり、一人称で語られる物語。語り手の知らないことが徐々に明らかになっていくにつれ、読者にも「あぁ、このまま読み進めると本当に辛くなりそうだ」と分かってくるのですが、その時にはもう絡めとられていて逃がれられませんでした。

読み終えて数日経っても、その世界がずっと本物のように存在し続けていて、思い出しては考えてしまいます。遠いイギリスの物語なのに、日本であったとしてもなにも違和感がない。

大好きで全作品直ぐに読みたいという感じではないのですが、多分また読むのではないかと思います。

「日の名残り」The Remains of the Day

満月の昨夜は千駄木で辛くない四川料理を食べました。

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満腹・ほろ酔いの帰宅途中、ノーベル文学賞発表の記事をスマホで見て興味を示したら、家人が持っているよと帰宅後2冊貸してくれました。

「私を離さないで」「日の名残り」の2冊でしたが、ブッカー賞受賞の「日の名残り」を先に読むことにしました。カズオ・イシグロは初めて読みます。

 遅くに読み始めたので夜中になってしまい、早く読み終わりたくて読み急いでしまいましたが、最後のページまで本を置くことはできませんでした。

 そして、読んでいる途中で止められない引き込まれる感じもよかったのですが、翌朝起きたら、読書中よりももっと物語が鮮明に立体的に立ち上ってくる感覚があったのには驚きました。また、偏った見方をしている一人称の主人公が語る物語なのに、彼の一方的な見方でない世界が認識できる多面性を備えていて、それも不思議な気分になりました。色々な要素が丁寧に構成されている魅力ある小説でした。

 読んでいる間だけ面白いような小説に飽きて読書から離れてしまっていたと思うのですが、この本は、物語に必要な要素が、本を読むことでに読者に提供されて、物語の完成は読者の中で熟成されるような、そんなふうに書かれている気がしました。

 久し振りに読書を楽しみました。もう一冊は昼間にじっくりと読んでみようと思います。


アルチンボルド展にいってきました

 週末に、国立西洋美術館で開催されているアルチンボルド展に行ってきました。

 だまし絵作家だと思って気軽に観にいったのですが、一作観るなりすごい衝撃を受けて引き込まれてしまいました。その一番初めに展示されていたのがこの絵、「四季」です。

アルチンボルド四季

 確実で落ち着いた筆致で、豊穣なる自然、生命力、季節の変化、地球の上で「ヒト」として生きていること、などが一挙に表現されていて、ガツーンと衝撃を受け、しばらく離れられませんでした。

 だまし絵作家として小さい世界にいた人ではありませんでした。ミラノ生まれですが、ウィーンでハプスブルグ家の肖像画家、宮廷イベントの企画、装飾や衣装デザインなど、アートディレクター的総合芸術家として仕えていたそうです。レオナルド・ダ・ビンチの弟子?の友人だったとのことで、ダ・ビンチの影響も受け、また受けた影響を形に出来る才能に恵まれた人だったのだと思います。

 彼の画風を真似て、似たような絵を描いた作品も展示されていたのですが、遠くから観ても違いが分かる。アルチンボルドの絵画には落ち着きや温かみなど愛情とでもいうムードが作品からにじみ出ていて、本当に観ていていい気分になりました。

「春」の花々は本当に綺麗。頬のバラ、首元のレースのような白い小花、また洋服に使われている植物も緑の色も形も美しい。頭に飾られている白ユリ、胸元のアイリスなど、幾らでも観ていられます。

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そして「冬」。
とても魅力があった。四季の中では一番好きかも。鮮やかなレモンの存在が、生き生きした安らぎをもたらしています。

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 だまし絵としての評価が先行しているのは残念だと思いました。実物を観たら、だまし絵というよりは、おとぎ話の世界に吸い込まれるというか、アルチンボルドの世界に入り込んでしまう。最初に飾られていた「四季」はワシントンDCのナショナルギャラリー収蔵だそう。また会うことがあるといいなぁ。





徳川美術館:初音の調度

先日、名古屋の徳川美術館が開館80周年記念で「初音の調度」全点一挙公開ということで、お誘いを受けて行ってきました。

「初音の調度」は、三代将軍家光の長女で、尾張徳川家二代の光友と2才(数えの3才)で結婚した千代姫の婚礼調度です。この婚礼調度が超トップクラスの蒔絵の工芸品の数々。これでもか、のオンパレードです。全部で70件、全部国宝だそうです。

初音の調度
初音1

胡蝶蒔絵掛硯箱
初音2

名所香箱
初音3

香道具も、蒔絵、純金製、銀製など何セットもありました。

家光がBL(Boys Love)一筋だったために後継ぎがなかったので、家光の乳母だった春日局が作戦を立てて少女に男装させて送り込んで、やっと出来た子どもの千代姫さま。生まれてすぐの政略結婚の話を聞くとお気の毒かと思いきや、輿入れは11才の時に婚家の江戸屋敷の敷地に自分の屋敷を建てて移り、夫婦仲もよく、その後も幸せにお暮しになったようです。

莫大な持参金、幕府からの毎年出る潤沢な生活費など経済的には自立していて、後ろ盾は将軍、12才年上のかっちょいい旦那様(側室11人あり)とも仲がよく、2男2女に恵まれた徳川家最強女子の超豪華お道具類です。1点観るだけでも感嘆するのに、あんなにあると感覚がよく分からなくなりました。

ところで、千代姫の調度がなぜ「初音の調度」かというと、意匠が源氏物語の初音の帖にちなんでいるため。その中で詠まれる

「年月を まつにひかれて ふる人に 今日うぐいすの 初音きかせよ」

の字が、バラバラに蒔絵の中に隠し文字のように仕込まれているのでした。そしてうぐいすもホケキョ!と鳴いています。


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