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初音の調度:幸阿弥長重工房

初音の調度は、室町時代以来幕府のお抱えの蒔絵師だった京都の幸阿弥家(こうあみけ)の十代、長重(ちょうじゅう)の工房で製作されたそうです。

発注した徳川家光が徳川幕府3代なのに、幸阿弥長重は10代ってことは、幸阿弥家の方がずっと古い。歴代の幕府に製品を納める伝統技術の家なんですね。

その技術もすごければ、技の伝承もすごい。そして、伝統というだけでは言い表せない職人のプライドと、売り込みと、生き残る強さというかしぶとさというか、別の要素も強いものを持っていたのでしょうね。

そして長重はプロデューサーとして、何人もの職人を抱えて沢山の工芸品を製作したそうです。京都は分業制と言われますが、昔からそうなんですね。何人もの職人がいなきゃ、初音の調度:精密精緻なあの作品、3年かけてとは言えあんなにたくさん製作できませんよね。それだって人間業とは思えない完成度なんですから。

ところで。同じ時代に同じ工房により製作された複数の櫃(ひつ)が、オランダ東インド会社によりヨーロッパに渡ったそうです。

多分数奇な運命をたどり(いい加減~('◇')ゞ、作られて以来370年位経った2012年にオークションにかかり、オランダのアムステルダム国立美術館が競り落として収蔵品としたとのこと。アムステルダム国立美術館のサイトではメンバー登録すると収蔵品の画像データをダウンロードさせてくれました。

櫃画像

こちらはネットで拾って来たイギリスのものらしい画像。大きさが分かります。

櫃3

競り落とされた値段は9億6千万円!

う~ん、初音の調度には値段なんかつかないでしょうが(なんせ国宝ですから)、あのようなお宝が数知れないほどある徳川家って、すごい~。

そして、下々も下々、道端の草っぱのような私なんぞが、天上人の方々のお道具を見ることが出来るような今の世の中ってすご~い。機会があればまた行こう、徳川美術館。
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徳川美術館:初音の調度

先日、名古屋の徳川美術館が開館80周年記念で「初音の調度」全点一挙公開ということで、お誘いを受けて行ってきました。

「初音の調度」は、三代将軍家光の長女で、尾張徳川家二代の光友と2才(数えの3才)で結婚した千代姫の婚礼調度です。この婚礼調度が超トップクラスの蒔絵の工芸品の数々。これでもか、のオンパレードです。全部で70件、全部国宝だそうです。

初音の調度
初音1

胡蝶蒔絵掛硯箱
初音2

名所香箱
初音3

香道具も、蒔絵、純金製、銀製など何セットもありました。

家光がBL(Boys Love)一筋だったために後継ぎがなかったので、家光の乳母だった春日局が作戦を立てて少女に男装させて送り込んで、やっと出来た子どもの千代姫さま。生まれてすぐの政略結婚の話を聞くとお気の毒かと思いきや、輿入れは11才の時に婚家の江戸屋敷の敷地に自分の屋敷を建てて移り、夫婦仲もよく、その後も幸せにお暮しになったようです。

莫大な持参金、幕府からの毎年出る潤沢な生活費など経済的には自立していて、後ろ盾は将軍、12才年上のかっちょいい旦那様(側室11人あり)とも仲がよく、2男2女に恵まれた徳川家最強女子の超豪華お道具類です。1点観るだけでも感嘆するのに、あんなにあると感覚がよく分からなくなりました。

ところで、千代姫の調度がなぜ「初音の調度」かというと、意匠が源氏物語の初音の帖にちなんでいるため。その中で詠まれる

「年月を まつにひかれて ふる人に 今日うぐいすの 初音きかせよ」

の字が、バラバラに蒔絵の中に隠し文字のように仕込まれているのでした。そしてうぐいすもホケキョ!と鳴いています。


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